東海大学静岡キャンパスを詳しくみる ➡ https://www.u-tokai.ac.jp/about/campus/campus-shizuoka/
食品表示、アレルギー表示のルール、食物アレルギーの原因物質について、担当の清水先生の講義から始まりました。昼食後で眠い時間帯ですが、皆さんしっかり聞いています。 続いて、ProⅡの取扱説明書を資料として、検査原理や操作方法、注意点などの解説です。取扱説明書の記載内容が、そのまま学生さんたちのテキスト代わりになっていて、ちょっと誇らしく思いました(自画自賛)。 ナノトラップProⅡの取扱説明書をみる
本日の検査対象
講義に続いて、4~5人のグループごとに検体を選んで実習開始です。 検査対象として、原材料に乳成分を含む飲料、含まない飲料を準備したほか、牛乳を混入させた飲料検体を各自で作製して、ナノトラップProⅡ牛乳キットで検査してみる実習も行います。
微量な牛乳を混入させる検体を各自で作製することで、マイクロピペットの操作や希釈操作時の適切なスケールや使用器具を考えるなど、生化学実習の基本的なところを学ぶカリキュラムとなっています。
2. 実習の様子・参加学生さんの反応
マイクロピペット操作に慣れる目的で、1mL×9回の分注で検体の飲料をチューブに取り分けています。ぎこちないですが、慎重に操作しています。
今日の参加者は、ピペット操作は初めての人から別の実習で1,2回経験があるレベルの学生さんたちです。
サンプルのアプライ
「簡単にキットを使うことができました。」
「機械を使わなくても、アレルゲンの検査ができることを知りました。」
「個人でも購入できますか?」
アレルゲンの検査に興味を持ってもらえてうれしい限りです。
ナノトラップProⅡを詳しくみる
結果を確認
ナノトラップProⅡの検査では、アレルゲンが含まれていると、テストスティック中央の四角い窓の中に線が見えます。
麦芽飲料と牛乳を混入させたコーヒーを検査したグループを見てみると、牛乳を含まない麦芽飲料が陰性(上)、ブラックコーヒー10 mLに、牛乳を0.01 mL混入させた検体は陽性(下)の結果になりました。
別のグループでは、ブラックコーヒー10 mLに牛乳を0.1 mL混入させた検体(上)、ブラックコーヒー10 mLに牛乳を0.01 mL混入させた検体(下)、どちらも陽性の結果になりました。
どちらのグループも正しい検査結果が得られたようです!!
なかには、滴下量が足りておらず判定できなかったり、予想と異なる結果もありましたが、原因をしっかりと考察すれば、逆に良いレポートが書けるのではないでしょうか。
☛ここがポイント! どうして赤線と黒線の2本の線が?
ここで、牛乳を含む検体の検査で、黒線と赤線の2本見える理由を解説しましょう。
牛乳に含まれるタンパク質は、大きくカゼインとホエイタンパク質の2種類に分けられます。カゼインは、主にチーズになるタンパク質で牛乳タンパク質の約80%を占めます。ホエイタンパク質は、牛乳からカゼインや脂肪を取り除いた液体部分に含まれるタンパク質です。身近なところではヨーグルトの上澄み液がホエイです。
アレルゲンの検査では、牛乳が含まれているかどうかを検査することが目的ですが、牛乳タンパク質の場合は、カゼインだけ・ホエイだけを含む製品も多くありますので、ナノトラップProⅡ牛乳キットは、カゼインとホエイタンパク質のどちらも検出できるようになっています。
カゼインを含む場合は黒線、ホエイタンパク質を含む場合は赤線が確認される仕組みです。
今回の検査は牛乳成分を含む飲料でしたので、カゼインもホエイタンパクも両方含まれており、その結果、黒線と赤線の両方が確認されました。
3. 担当の先生へのインタビュー
清水 宗茂 准教授
海洋学部 水産学科、海洋学研究科、総合理工学研究科
主な研究テーマ
食品中のマイクロプラスチックおよびマイクロプラスチックの体外排泄に関する研究
未利用水産資源を用いた有効活用に関する研究
■アレルゲン実習を始めた背景
アレルゲン実習を始めたきっかけを教えてください。
(清水先生)前職の食品企業で、アレルギー対応食品の開発をしていました。弊学の学生たちの就職希望先として食品企業が多いため、数年前からアレルギーをテーマにしたカリキュラムを導入しています。
どのような学生さんがアレルゲン検査の実習に参加されていますか?
(清水先生)実習に参加しているのは主に2年生で、初めての実習に近いです。アレルゲン検査の実習は必修ではありませんが、参加希望者が多く、複数回に分けて実習日程を用意し、半年で50人くらいが履修できるようにしています。
■実習のツールにナノトラップProⅡを選んだ理由
ナノトラップProⅡを実習用に選んでいただいた理由をお聞かせください。
(清水先生)まず、必要な検査時間が1時間程度なので、実習時間内に検査を終了することができます。
また、テストスティックがプラスチックのケースに入っている形態が、実験に不慣れな学生にも扱いやすいことも採用理由です。ケースのないテストスティックだと、判定部分を触ってしまうなどの失敗が心配されます。
そして、カゼインの判定ラインとホエイの判定ラインの2本を確認するので、考察の幅が広がることも期待しています。
■実習の工夫
ナノトラップProⅡを実習用に使用する為に工夫している点はありますか?
(清水先生)実習ならではの工夫としては、時間が限られるので固形の検体を使用せず飲料を検査対象としています。均質化の作業が不要だと、作業がスムーズです。
一方、飲料の検体なので、遠心分離やろ過の操作はやらなくても検査できると思いますが、そのような操作を体験してもらう目的で、あえて遠心分離とろ過は実施する検査方法で実習してもらっています。
今後の実習に取り入れたい検査方法、検体はありますか?
(清水先生)実習時間がもっとあれば、複数項目での検査や、交差反応性を学ぶきっかけになるような検査をやってみたいと思います。ただ、2年生対象なのでそこまでは難しいというのが現状です。
本日は、見学およびインタビューのお時間をいただきありがとうございました。
実習に参加されている学生さんたちは、食品企業への就職希望が多いそうですから、今日の実習をきっかけに、アレルゲン管理の大切さが分かる新入社員として活躍してほしいです。
また、本日は食品のアレルゲン検査を実習していただきましたが、製造実習なども計画されていると思いますので、食品製造設備等の洗浄確認用のアレルゲン検査キット「ナノトラップEasy」も試していただく機会があればうれしいです。
ナノトラップEasyを詳しくみる
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
教育機関での実習に食品のアレルゲン検査をお考えでしたら、是非ご連絡ください。